2025年 新年のごあいさつ
新年、明けましておめでとうございます。
2025年の年頭にあたり謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
会員の皆様方におかれましては、ご健勝のうちに新春を迎えられたことと、心よりお慶び申し上げます。
さて、昨年の我が国経済は、物価高が継続する中、家計の所得環境の改善などを背景に個人消費が伸び、内需を中心に緩やかに景気が回復する動きが見えました。一方で、円安等によるエネルギー・原材料価格の高騰や賃上げ・最低賃金の改定による人件費の上昇など、コストの増加が中小企業の経営を圧迫しています。加えて、深刻な人手不足、後継者の不在など、中小企業の課題は厳しさを増すばかりです。
世界情勢に目を向けると、混迷の度を深める中東情勢やウクライナ紛争だけでなく、米国大統領選挙におけるトランプ氏の再選により、保護主義や自国第一主義の台頭に対する懸念が再び高まっています。本年も先行きが不透明な状況に変わりなく、地政学的リスクの増大が、中小企業の経営にも影響を及ぼしかねません。
(地域の中小企業が抱える課題)
川越市内の景況感は、肌感覚で言うとコロナ禍前の水準まで回復してきたように感じます。国内外からの観光客で街は賑わっており、特に訪日外国人観光客が増え、円安が追い風となってインバウンド消費は良い流れにあります。
反面、川越の中小企業が抱える課題は他の地域と同様で、コストの増加分を適正な価格として転嫁するための「価格転嫁」は、十分な成果が得られているとは言えない状況です。引き続き、日本商工会議所をはじめとし、全国の商工会議所では、「パートナーシップ構築宣言」等の施策を通じて、取引適正化の推進に取り組んでまいります。
採用難に直面する中小企業も少なくありません。2024年の日本人の出生数は初めて70万人を割る見通しで、急速な少子化が進行しています。それに加え、約800万人いる全ての団塊の世代が、75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」により、労働力人口はますます減少すると言われています。今後はあらゆる産業が人手不足に陥り、採用競争の激化が予想されます。川越商工会議所では、地域の中小企業の人材確保を支援するため、近隣の大学とのインターンシップ事業の展開や、高等技術専門校の就職説明会への会員企業の参加などを通じ、地元採用・地元就職を推進しています。また、セミナーやデジタル会報等で採用情報のトレンドを発信するなど、今後も採用難に苦しむ中小企業の一助となる事業を展開してまいります。
(中小企業の自己変革を後押し)
昨年も、経営指導員による事業所訪問や窓口相談を中心に、中小企業の声に耳を傾けてまいりました。コロナ禍から実施している「会員別課題解決プロジェクト」でも、会員企業にヒアリング調査をしており、多くの声が集まっています。価格転嫁や人手不足だけでなく、従業員の高齢化や技術の伝承など、会員の声を伺うと経営課題は多様化していることがわかります。
そのような厳しい経営環境の中、中小企業が持続的に成長するためには、たゆまぬ自己変革への挑戦が重要です。人手不足の克服には、人材の確保と併せて、デジタル化や省力化投資を含めた設備投資や技術革新など、生産性向上への取組みを進めることが不可欠になります。川越商工会議所のスローガンとして掲げた「人と企業が輝く川越へ ~変革に挑む!~」を実践すべく、自己変革によって企業の付加価値を高めようと努力する中小企業を、本年も全力で支援してまいります。
(創立125周年を機に求められる商工会議所へ)
本年2月に川越商工会議所は創立125周年を迎えます。125年という大きな節目を迎えることができるのも、長年にわたり商工会議所活動を支えていただいた多くの会員企業の皆様と、地域経済の発展に努力を惜しまなかった先人達のおかげであると深く感謝申し上げます。
先人達から受け継いだ有形無形の財産を次の世代に継承していくことと併せ、これからも時代や環境の変化を的確に捉え、地域の中小企業から求められる商工会議所に変革してまいります。そして、会員企業4,250社と共に川越経済のさらなる発展に力を注いでまいりますので、皆様の一層のご支援とご協力を心からお願い申し上げます。
結びに、会員皆様方の益々のご健勝とご繁栄を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。
2025年1月1日
川越商工会議所 会頭 原 敏成